本日、入手したホット情報をご紹介します。
包括免許への具体的な第一歩となれば良いと思います。
昨年6月、総務省行政評価局が行った「規制の簡素合理化に関する調査」のための
意見・要望の募集(パブコメ募集)に対して、約130名のアマチュア無線家が連名で
「アマチュア無線局の包括免許制度の導入」とい表題で要望書を提出していました。
まずは、要望書の全文をご紹介します。
合理化を求める内容
アマチュア無線局の包括免許制度の導入
各級アマチュア無線従事者資格の範囲内で操作可能な、電波の型式、周波数および空中線電力を包括して免許し、特別な場合を除き「空中線電力1kW以下」の無線局検査を不要とする「包括免許制度」に簡素化することを求めます。
理 由
我が国では戦中・戦後の一時期、アマチュア無線は禁止され、1952年より運用が解禁されました。当時、無線技術は発展途上であり、しかも社会情勢を反映して、厳しい免許条件がありました。時代とともに徐々に規制が緩和されてきましたが、その基本的な規制要件、すなわち国はアマチュア無線局の免許を与えるに当たって、その無線設備を詳細に書面審査し、さらに政府職員を派遣して無線設備の性能検査を行い、合格したら無線局免許状を交付する。無線設備の増設、改良、変更等も同様という厳しい状態は今なお変わらず継続しています。
このようなアマチュア無線免許制度をとる国は、欧米諸国では皆無、我が国のみという極めて特異な状況にあります。
アマチュア無線局を希望する者が増加するにしたがって、政府職員を出張させることは困難となり、代わりに民間の保証認定業者が書面審査を行い、無線局検査業者が検査を代行する制度が導入され、また、技術適合基準を設け、基準に合格した無線機での200W以下の開局には検査を免除する制度も導入されるなど、一定の簡素化は行われています。
しかしながら、今やほとんど無益とも言える厳しい免許制度が存在するため、国は多くの職員を確保し、多額の国家予算を使い、また国民も重い負担を強いられています。
その一方、国の免許業務の一端を代行する保証認定業者、無線局検査業者、そして技術基準適合審査業者が経済的利益を得るという歪んだ状態になっています。アマチュア無線局の免許に関するビジネスが存在する国は、世界で唯一我が国だけです。
無線技術の目覚ましい進歩により安定した電波の質を容易に確保できるようになり、また免許情報もインターネットで公開されており、アマチュア無線局の無線設備を国が検査までして厳しく監理する合理的理由は甚だしく薄れています。
「空中線電力1kW以下」のアマチュア無線局に、「包括免許制度」を導入すれば、国のアマチュア無線局免許業務に関わる職員とアウトソーシングコスト、さらに電子申請システムのメンテナンスコストを大幅に削減することができます。国民も煩雑かつ現在ではほとんど無意味な免許申請作業と免許係る経費を減らすことが可能になります。
我が国の全てのアマチュア無線局が長年にわたり強く希望する「包括免許制度」が導入されれば、アマチュア無線本来の目的である無線技術向上と研究改良をいつでも自由に行うことができ、日本の将来を託す青少年の理科学への興味を誘い日本の科学技術の向上やアマチュア無線活動が、そして科学立国日本の経済効果も大いに期待できると考えます。
国家、国民、双方にとって良いことづくめの「包括免許制度」導入を強く要望します。
以上
パブコメ募集は、昨年6月30日に終了していました。
約1年半経って、総務省から次の勧告が出ました。アマチュア無線に関する内容を抜粋しています。
規制の簡素合理化に関する調査結果に基づく勧告
平成26年10月総務省
1 長期間見直されていない規制等の社会経済情勢等への適合
(1) 事業者等のニーズや現状の技術に対応していないもの
① アマチュア無線局の免許制度(電波法)
調査したアマチュア無線局免許人は、アマチュア無線局について、無線従事者 の資格で認められている操作可能な範囲で、技術基準適合証明を受けた無線 設備の取替え、増設を行う場合の変更の手続が煩雑であり、これらを不要にす べきとしている。
【所見】
したがって、関係府省は、規制について社会経済情勢等に適合させ、国民や事業
者の負担の軽減を図る観点から、次の措置を講ずる必要がある。
(1) 事業者等のニーズや現状の技術に対応していないもの
① アマチュア無線の利用者の負担軽減を図るため、技術基準適合証明を受けた
無線設備の取替え及び増設を行う場合には、無線従事者の資格の操作可能な範
囲内において、手続の簡素化を図ることについて、考え方を整理すること。(総
務省)
以上ですが、今後、通信基盤局がこの勧告を受け、どのような規制緩和・・・包括免許への施策を示すか、見守っていきたいと思います。
ただし、所見は「考え方を整理すること」で終わっています。
「手続きを簡素化せよ」ではありません。
これは、簡素化によって仕事を失う可能性の高い、免許事務代行業者、検査代行業者などの
存在を意識しているためと思われます。
しかし、アマチュア局の定義・・・金銭上の利益のためでなく、専ら個人的な無線技術の興味によつて・・・からも、自作機器の認定事務作業に認定料を課すなどは、規制(廃止)されてしかるべきと考えます。
なぜ、勧告のトップにアマチュア無線に関する事が取り上げられたか?
通信基盤局が総務省内の組織であることから、言わば身内への勧告となるので、
トップに位置づけられたと思います。
なお、アマチュア無線以外の項目は、省略しましたが、こんな内容もあります・・・。
狂犬病予防注射が毎年4月~6月の期間限定で行われていることに対し、
犬の体調によっては、出来ないこともある。自由に行えるようにすべき。
所見:実施時期を見直すべき。(厚生労働省)
末尾の( )内は、厚生労働省に対する勧告という意味です。